I'll be Alright Without You (Journey)
1986年のアルバム「Raised on Radio」に収録されている曲。スティーヴ・ペリーのソロ活動を経て再び集結したジャーニーであったが、結果的に3人だけ(スティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケイン)のバンドになってしまった。アルバムのレコーディング中にベースのロス・ヴァロリーとドラムのスティーヴ・スミスが脱退するという大ハプニングが発生したのだ。そんな中でこのアルバムのレコーディングは続けられたのであった。
セールス的なことを言えば、このアルバムは大成功とは言い難かったようだ。僅か3年前の「フロンティアーズ」の大ヒットを思うと非常に寂しい。その間にスティーヴ・ペリーのソロ活動の大成功があったのだが、時代は時間の流れ以上に大きく変貌していたのだ。かつてのジャーニーのポジションには新しいバンドが次々に登場し、70年代から続くハード・ロックとポップ・ロックを融合したロック・ミュージックの市民権はデジタル機器を駆使したダンス・ミュージックに徐々に奪われつつある時期でもあった。その境目は1984年から85年。音楽に限らず全ての文化・思想が大きく変わろうとしていた時期である。
この曲はスティーヴ・ペリーのボーカルが無ければ「ジャーニー」と認識することが出来ないくらいにサウンドが変わってしまっている。それは決して悪い意味だけではないのだが、ジャーニーというバンドにオーディエンスが何を求めているのかが曖昧になっていたとも言えないだろうか。サウンドだけに限って言えば決して悪いものでは無い。寧ろ俺なんかは大好物の部類。ボーカルレスのトラックを「TOTOの新作です」と言えば通用するような世界。しかしそれがジャーニーの新曲だとすると少々違和感を感じるような感覚。ファンとは我儘である。
音楽的なIQは非常に高いものの、大ヒットに結びつかなかったのは何故だろうか。この曲のソング・ライティングはメンバー3人になっているが、主に舵取りをしたのはスティーヴ・ペリーではないかと思う。ソロ活動で得た様々なジャンルの要素や違うメンバーから受けたインスピレーション、そうしたものがこの曲へと形を変えたのではないだろうか。しかし、思えばジャーニーとはニール・ショーンが率いてきたバンド。そこにスティーヴやジョナサンのポップな才能が加わり、大輪を咲かせたというのが一般的な見方である。ニールのサウンドとは少々違う味付けに、バンドもファンも戸惑ってしまったという感じなのかもしれない。
しかし繰り返すが楽曲としては間違いなく秀逸。ジャーニーという固定観念を外して聴けば、素直に良い曲だと言い切れる力のある曲である。
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