アルバム全曲解説 「ジェントルソング」
「Rock Gentleman」最後10曲目の曲は「ジェントルソング」。
今回このアルバムを作るにあたり、最初にイメージしたのは最後のこの曲だった。最後の曲だけはこういう感じでいこう、と最初からイメージしていたのである。それは若い頃の理想とかけ離れた人生を受け入れる男の歌、ということである。
俺の好きなアルバムに、浜田省吾さんの「誰がために鐘は鳴る」というアルバムがある。このアルバムは一般的に言えば非常に重い。その重さとは単に暗いということではなく、自分の人生を客観的に受け入れる諦観したような男の歌が並んでいるということであった。40回目の誕生日に頭を打ち抜いてしまう男がそこに見たもの、トレード宣告される野球選手、空っぽのサイドシートに話しかける男、そして引退していくミュージシャン。そんな男達の歌。そのアルバムは1990年の作品、浜田さんが38歳の時のアルバムである。そして今回、俺のこの「Rock Gentleman」も38歳の作品。それを意識してイメージしたわけではないのだが、結果的にこの2枚のアルバムは同じようなテーマで作られたような気がするのだった。
もちろん俺と浜田さんとでは天と地ほどのスケールの違いがあるわけだし、20年前と現在の38歳とでは社会背景も社会の年齢に対する認識も全く違うわけだが、それでも38年という物理的に過ごしてきた時間というのは一致しているわけで、一個人としてそこで考え始めることは同じということなのかもしれない。それに気が付いたのはアルバム完成間近の頃だった。そのテーマの選定は決して間違いではなかったと思っている。
この曲のサウンド・イメージも最初から明確にあった。それはジャクソン・ブラウンの「The Pretender」。変な言い方だがもうこの曲が死ぬほど大好きで、いつかこんな曲を作りたいと常々思っていたのだった。それはサウンドのみならず、歌詞もこれ以上無いくらい素晴らしいものであり、自分の生き方について悩んでいる人にこそ聴いて欲しいと思う曲なのである。その歌に疑問に対する答えは無く、歌の主人公も同じように悩み苦しんでいるだけ。人生を投げ出してしまう一歩手前のような心境なのだが、それが逆説的に勇気付けられると言うか・・・。そんなテーマで作りたいと思っていたのと、先に述べた38歳なりの想いが重なってこの曲が出来たのだった。
アレンジ的には「The Pretender」に、同じジャクソン・ブラウンの「Late For The Sky」の印象的なギターが加わる、みたいなイメージ。この2曲に救われたことは本当に何度となくあったから。シンセのソロはオフコースの「思いのままに」のプロフェット5のイメージだったのだが、やはりあの独特の音を作り出すことは難しかった。結果的には浜田省吾さんの「青春のヴィジョン」のソロみたいな音になってしまったのだが、まぁそれはそれで良かったのかも。でも今後のためにも、プロフェットのソフトシンセは購入したいと思っている。
この曲のタイトルが何故「ジェントルソング」なのか。それは自分の人生をきちんと受け入れられることがジェントルマンなのではないかと思ったからだ。この曲のテーマは「笑いとばせ」と同じで青春との訣別の歌。どういう形であれ、現実という真実を受け入れる日が必ず来るということ。その時嘆き悲しんだとしても、そういう人は必ず報われるだろうと思っているから。「笑いとばせ」の解説で述べたように、夢を諦めることと諦めないことは同義語だと思う。諦めた時に初めて見えてくるものもあるだろうし、諦めないことで失ってしまうものもある。追いかける夢に忠実なあまり、かつて自由の象徴だった自分の夢に縛られてしまうことだってある。その線引きは自分自身で決めるしかない。しかしそれは明確に「ここまで」というものがあるわけではない。スパッと切り替える美しさもあれば、誰が何と言おうとやり続ける正義だってある。要は自分自身の気持ちでしかないということ。この歌の主人公は迷いながらもそんな自分に見切りをつけたということなのだろう。
こんな気持ちは前述の「誰がために鐘は鳴る」のラストの曲「夏の終わり」と同じ。そんなところから見ても、このアルバムはやはり浜田さんのものと同じく「諦観」のアルバムなのかもしれない。しかしそんな想いになりながらも、「冗談じゃない!こんな人生に翻弄されてたまるか!」という気持ちになることだってあるだろう。そんな時はまた1曲目の「おやじロック」に戻るという仕組みに作ったのだ。結局、この気持ちの繰り返しが人生というものなのではないかと思ったのである。
以上10曲。これが作者としての解説です。
でもこれに縛られず、聴く人は自由に聴いてくれて良いのです。それが音楽だと思うから。
今年いっぱいはこのアルバムを多くの人に聴いてもらえるように頑張りたいと思います。ぜひ応援して下さい。宜しくお願いします。


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